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医療統計

監修

京都大学大学院医学研究科 医学統計生物情報学 教授
森田 智視 先生

監修者の所属・役職は2023年5月時点の情報です

層別ランダム割付

層別ランダム割付

ランダム割付では、統計的な乱数を用いてランダムに治療を割付けます。どちらの治療になるかが主治医の判断や患者さんの状態によらないため、背景や予後因子を含む患者背景は均等になることが期待できます。しかし、すべての患者背景において群間で均等になるとは限らないため、予後に大きな影響を与えるような病期(Stage)などの重要な予後因子についてはグループ(層)に分けてそれぞれの層ごとにランダム化を行うことで、必ず群間バランスがそろうようにします。これが層別ランダム割付です。
例えば、割付因子として性別(男性、女性)、Stage(Ⅲ、Ⅳ)を設定したとすると、男性・Stage Ⅲ、男性・Stage Ⅳ、女性・Stage Ⅲ、女性・Stage Ⅳの4層それぞれでランダム割付を行います。これにより、男性/女性、Stage Ⅲ/Ⅳの割合が群間でほぼ等しくなります。

実際の層別ランダム化の方法

層別ランダム化割付を行ったとしても、各層内でどちらか片方の群に多めに割付けてしまうことも起こりえます。そこで、どちらかの群に人数が偏らないようにするため、ブロックランダム化という手法がよく併用されます。
ブロックランダム化とは、割付治療数の倍数を「ブロック」としてブロック単位で割付順序を決める方法です。例えば、新薬X群と既存治療群にランダム化する場合、4例分のブロックサイズを選択すると、割付順序の配列は6通り用意できます。その中から、ランダムに配列を選び、患者さんを順番に割付けていきます。
このような方策をとることで、試験終了時に群間で症例数が均一になります。新治療と既存治療の割付比率は均等(1:1)にすることが多いですが、プラセボを対照群とする場合には、新治療の割付比率を高める(例えば2:1など)場合もあります。

参考

佐藤弘樹ほか. 臨床統計まるごと図解. 中山書店. 2013, p50-57
平川晃弘ほか. 日本小児血液・がん学会雑誌. 2019; 56(5): 432-435

BLN224104IF1 2022年9月作成
『ビーリンサイト.jp』はアムジェンが運営する医療関係者向け情報サイトです。
こちらのページでは、抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(ブリナツモマブ)の医療統計 層別ランダム割付をお届けいたします。

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