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医療統計

監修

京都大学大学院医学研究科 医学統計生物情報学 教授
森田 智視 先生

監修者の所属・役職は2023年5月時点の情報です

ハザード比

ハザード

ハザードとは、時点時点での瞬間死亡率のことを指します。カプランマイヤー曲線では、各時点での生存割合をプロットしますが、ハザードは生存曲線の傾きになります。

ハザード比

ハザード比とは、イベント(死亡)の起こりやすさを試験期間全体の平均的な群間差として推定したものです。通常は分子に新治療のハザード、分母に既存治療のハザードとして相対的な効果の大きさを推算します。
ハザード比が1であれば群間で治療効果に差がないと解釈されます。新治療のほうが高い効果をもつ、すなわちイベント発生を抑える力が強い場合にはハザード比は1を下回り、逆にイベント発生を抑える力が弱い場合にはハザード比は1を上回ります。例えば、新薬X群の既存治療群に対するハザード比が0.7であれば、新薬Xのほうが30%イベントを抑える力が強いと解釈できます。このハザード比の精度を示すものが95%信頼区間であり、狭ければ狭いほどその精度は高く、95%信頼区間が1を含まない場合に、統計的な有意性を示します。

イベントリスクを表す指標としてほかにオッズ比やリスク比があります。オッズ比やリスク比は「イベントの有無」を解析するのに対し、ハザード比ではイベントがいつ起こったのかという「期間(時間)」の情報も考慮されるため、生存時間解析ではハザード比を用います。

参考

新谷歩. 今日から使える医療統計.医学書院. 2015, p159-162
山崎力ほか. 臨床研究いろはにほ. ライフサイエンス出版. 2015, p46
佐藤弘樹ほか. 臨床統計まるごと図解. 中山書店. 2013, P80-81, 148-157, 162-167

BLN224104IF1 2022年9月作成
『ビーリンサイト.jp』はアムジェンが運営する医療関係者向け情報サイトです。
こちらのページでは、抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(ブリナツモマブ)の医療統計 ハザード比をお届けいたします。

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