医療統計
- 監修
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京都大学大学院医学研究科 医学統計生物情報学 教授
森田 智視 先生監修者の所属・役職は2023年5月時点の情報です
Log-rank検定
Log-rank検定
2つの生存曲線を比較する代表的な解析手法です。Log-rank検定では、ある特定の時点における生存率(例えば5年生存率など)を比較するのではなく、生存曲線の全体を比較することで、両群の生存状況に差があるかについて検定することができます。
Log-rank検定では、試験開始時点から終了時点までの期間において、群間差が偶然に生じたばらつきの範囲内であるかを調べます。一方の群の死亡率が一貫して他方の群よりも高く、加えて両群の死亡率の比が全期間にわたって一定である場合に差の検出力が高くなります。
層別log-rank検定
重要な予後因子の分布が群間で異なる可能性がある治療群間の比較では、有意差が認められたとしてもそれが治療法の違いによるものであるか、あるいは予後因子の違いによるものであるかを判断できません。そこで、予後因子(年齢やStageなど)によって層に分け、それぞれの層で群間比較したのちにそれらを統合して全体の群間比較を行う「層別log-rank検定」を用いることがあります。
参考
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- 佐藤弘樹ほか. 臨床統計まるごと図解. 中山書店. 2013, p138-147
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- 宮原英夫, 折笠秀樹監訳. 実践医学統計学. 朝倉書店. 2005, p69-76
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- 赤澤 宏平. 医療情報学. 2000; 20(6): 451-461
Cox回帰モデル
Cox回帰モデル
Log-rank検定は単純に群間で生存曲線を比較する手法であるのに対し、Cox回帰モデルは治療法や背景因子など複数の因子が生存期間に与える影響を評価する手法です。Cox回帰モデルでは、各時点の瞬間的死亡率=ハザードをもとに解析します。そのためCox比例ハザードモデルと呼ぶこともあります。
参考
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- 佐藤弘樹ほか. 臨床統計まるごと図解. 中山書店. 2013, p148-151
BLN224104IF1 2022年9月作成
『ビーリンサイト.jp』はアムジェンが運営する医療関係者向け情報サイトです。
こちらのページでは、抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(ブリナツモマブ)の医療統計 Log-rank検定/Cox回帰モデルをお届けいたします。