Q&A
適正使用に関するQ&A
- Q1妊婦や授乳婦、妊娠する可能性のある女性に投与する際の注意事項はありますか?
- A
- 妊娠中、又は妊娠している可能性のある女性には、原則として投与しないでください。やむを得ず投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
- 授乳中の女性に投与する場合には、授乳を中止するよう指導してください。
- 妊娠する可能性のある女性に投与する場合には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導してください。なお、避妊期間の目安は、投与終了後少なくとも48時間※1です。
※1:ビーリンサイトの半減期より5倍以上経過した時間。
- Q2成人(18歳以上)と小児(18歳未満)で発現状況に差異がみられた有害事象はありますか?
- A
成人患者(海外第Ⅲ相比較対照臨床試験6)の本剤投与群)と小児患者(海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験8)の5~15μg/m2/日投与患者※2)で発現率に差異が認められた有害事象は次のとおりでした。
※2:1サイクル目の1~7日目は5μg/m2/日、それ以降は15μg/m2/日を投与された患者。
<成人患者又は小児患者で発現率に5%以上の差異が認められたグレード3以上の有害事象>
器官別大分類
基本語成人患者
(海外第Ⅲ相
比較対照臨床試験、
本剤投与群)6)
(n=267)小児患者
(海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験、5~15μg/m2/日投与患者)8)全患者
(n=70)0~2歳未満
(n=10)2~12歳未満
(n=40)12~18歳未満
(n=20)全有害事象 231(86.5%) 61(87.1%) 7(70.0%) 36(90.0%) 18(90.0%) 貧血 53(19.9%) 25(35.7%) 3(30.0%) 16(40.0%) 6(30.0%) 低カリウム血症 10(3.7%) 12(17.1%) 3(30.0%) 6(15.0%) 3(15.0%) 血小板減少症 40(15.0%) 15(21.4%) 0 10(25.0%) 5(25.0%) ALT増加 15(5.6%) 11(15.7%) 2(20.0%) 6(15.0%) 3(15.0%) 発熱 20(7.5%) 10(14.3%) 0 9(22.5%) 1(5.0%) 血小板数減少 12(4.5%) 10(14.3%) 3(30.0%) 4(10.0%) 3(15.0%) 好中球数減少 10(3.7%) 9(12.9%) 3(30.0%) 3(7.5%) 3(15.0%) AST増加 8(3.0%) 8(11.4%) 1(10.0%) 4(10.0%) 3(15.0%) 白血球数減少 13(4.9%) 7(10.0%) 2(20.0%) 4(10.0%) 1(5.0%) 白血球減少症 8(3.0%) 7(10.0%) 1(10.0%) 4(10.0%) 2(10.0%) MedDRA/J ver.20.0(海外第Ⅲ相比較対照臨床試験6))、MedDRA/J ver.19.0(海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験8))
6)承認時評価資料(海外第Ⅲ相試験(00103311試験))
8)承認時評価資料(海外第Ⅰ/Ⅱ相試験(MT103-205試験))
- Q3HSCT実施歴の有無で有効性や安全性に差がありますか?
- A
HSCT実施歴の有無別の全生存期間の結果及び安全性は次のとおりであり、HSCT実施歴の有無で本剤の有効性及び安全性に明確な差異は認められませんでした。
<HSCT実施歴の有無別の全生存期間(海外第Ⅲ相比較対照臨床試験)6)>
HSCT実施歴あり HSCT実施歴なし 本剤投与群
(n=94)標準化学療法群
(n=46)本剤投与群
(n=176)標準化学療法群
(n=87)死亡数(%) 58(61.7%) 26(56.5%) 106(60.2%) 60(69.0%) 中央値[95%CI](ヵ月) 7.7[3.9-10.2] 5.3[1.9-9.0] 7.5[5.1-10.1] 3.7[2.8-5.3] ハザード比[95%CI]* 0.81[0.51-1.29] 0.71[0.52-0.98] *:Cox比例ハザードモデルにより算出
<HSCT実施歴の有無別の安全性(海外第Ⅲ相比較対照臨床試験)6)>
HSCT実施歴あり HSCT実施歴なし 本剤投与群
(n=93)標準化学療法群
(n=35)本剤投与群
(n=173)標準化学療法群
(n=73)全有害事象 92(98.9%) 35(100%) 170(98.3%) 72(98.6%) グレード3以上の有害事象 81(87.1%) 35(100%) 149(86.1%) 64(87.7%) 海外第Ⅲ相比較対照臨床試験6)において、HSCT実施歴を有する患者のうち、急性又は慢性GVHDに対する免疫抑制剤による全身治療を必要とする患者は組入れ対象から除外されました。
6)承認時評価資料(海外第Ⅲ相試験(00103311試験))
調製投与に関するQ&A
- Q1調製の際、輸液安定化液で本剤を溶解してしまった場合はどうすればよいですか?
- A
使用せず廃棄してください。本剤の溶解には注射用水(3mL)を使用してください。輸液安定化液は輸液バッグに加えて、本剤が輸液バッグや輸液チューブに吸着するのを防ぐためのものです。
(「ビーリンサイト輸液バッグの調製手順」参照)
- Q2輸液バッグで調製したビーリンサイト溶液を規定の時間内に全量投与できません。全量投与できなくてもよいのですか?
- A
本剤は実際に必要な投与量よりも多く調製できるようにしています。輸液バッグの中を全量投与する必要はなく、規定の投与速度で持続的に投与してください。
(「投与時の注意点」参照)
- Q3ビーリンサイト溶解液を添付文書通りに輸液バッグで調製すると、実際の投与に必要な溶液量よりも多い溶液量が調製されますが、その理由を教えてください。
- A
添付文書に記載されている手順に基づいてビーリンサイト溶解液を調製すると、輸液バッグ中の溶液量は実際に患者へ投与される溶液量(240mL)よりも多くなります。これは輸液チューブのプライミングなどに必要な溶液量を考慮しています。
- Q4デキサメタゾンの前投与はどのタイミングで実施したらよいですか?
- A
以下の海外第Ⅲ相比較対照臨床試験および国内第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験における方法を参考に実施してください。
- 成人(18歳以上):本剤の各サイクルの投与開始前1時間以内と、用量増量前1時間以内
- 小児(18歳未満):本剤の初回投与(1サイクル目)開始6~12時間前と本剤の初回投与(1サイクル目)開始前30分以内
成人、小児ともに本剤の投与中断後、投与を再開する場合も同様の前投与を実施してください。(小児は1サイクル目のみ実施)
(「ビーリンサイトによる治療の概要」参照)
- Q5投与方法として、中心静脈法と末梢静脈法のどちらを選択すればよいですか?
- A
ビーリンサイト開発時の臨床試験では、成人・小児患者のいずれの場合でも、原則的に中心静脈から投与していました。ただし、中心静脈投与が不可能であった場合には、一時的に末梢からの投与を認めていました。
- Q6ビーリンサイトが手や服に付着した場合はどうすればよいですか?
- A
ビーリンサイトが手指などに付着してしまった場合、速やかに石鹸で洗い、大量の水で洗い流し、ビーリンサイトが付着した衣類や靴などはすべて交換してください。必要な場合には、医師に相談してください。
- Q7生理食塩液でのプライミングは実施してもよいですか?
- A
添付文書では「調製した溶液のみで輸液チューブをプライミングすること(生理食塩液ではプライミングしないこと)。」と記載されています。 ビーリンサイトは一定の注入速度で投与する必要があり、生理食塩液でプライミングを行った場合には、最初の一定時間にビーリンサイトの投与が行われない、もしくは希釈された濃度で投与することになるためです。
- Q8投与時の遮光は必要ですか?
- A
投与時の輸液バッグや投与ラインの遮光は不要です。
冷蔵保存時は遮光が必要ですのでご注意ください。(「ビーリンサイト輸液バッグの調製手順」参照)
- Q9注射液の調製法の例示に記載されている、ビーリンサイト溶解液注入量の計算式を教えてください。
- A
以下の計算式により概算値を求めることが出来ます。
体重45kg以上
V1(mL)=D1(μg/d)×L(day)/240(mL)×275.5※(mL)/12.5(μg/mL)体重45kg未満
V1(mL)=D2(μg/m2/d)×体表面積(m2)×L(day)/240(mL)× 275.5※(mL)/12.5(μg/mL)※:生理食塩液の量(270mL)+輸液安定化液の量(5.5mL)
V1(mL):ビーリンサイト溶解液(濃度12.5μg/mL)の添加量
D1(μg/d)、D2(μg/m2/d):ビーリンサイトの1日あたりの投与量
L(day):投与時間(時間を日に変換:24時間~96時間=1~4日)
『ビーリンサイト.jp』はアムジェンが運営する医療関係者向け情報サイトです。
こちらのページでは、抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(ブリナツモマブ)のQ&Aをお届けいたします。